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Th2ケモカイン・TARCキット「HISCL™TARC試薬」
【臨床的意義】
TARCはCCケモカインの一つ(CCL17)であり、リンパ球(CCR4を発現するTh2細胞)を炎症部位に遊走させる作用をもつ分子です。
アトピー性皮膚炎では、Th2優位の免疫応答により、IgE産生や好酸球の浸潤・活性化が惹起されてアレルギー症状が出現すると考えられています。
杉山らは、SARS-CoV-2に感染した患者血清中のTARC量を経時的に測定し、酸素吸入・人工呼吸器の装着が必要となった重症(呼吸不全を伴う中等症II以上)化群と必要にならなかった軽症(中等症I以下)群(5)の入院直後のTARC量を比較検討した結果、重症化群のTARC濃度が軽症群に比べて有意に低いことを見出し、本分子のSARS-CoV-2陽性判定後速やかな測定が、重症化する可能性のある患者を早期に予測するために有用であることを報告しています(4)。酸素吸入・人工呼吸器の装着が必要となった重症化群(19例)と軽症群(59例)の、ROC曲線からYouden法により算出したカットオフ値は95.0pg/mLでした(1)(4)。
【臨床性能試験 試験概要】
登録症例数:COVID-19感染者:86例(主要解析対象:78例)
評 価 項 目:COVID-19の予後と重症化前のTARC 値の関係を評価することで、重症化予測能を評価する。
患者の定義:COVID-19軽症者(軽症/中等症Ⅰ):風邪症状もしくは軽度肺炎のあるもの、COVID-19重症者(中等症Ⅱ):肺炎悪化により酸素供給の必要なもの、COVID-19重篤者(重症):肺炎悪化により人工呼吸器もしくはECMOの必要なもの
本成績は国立国際医療研究センターで実施した臨床研究(Sugiyama M, et al. Gene 2021(766), 145145)の事後解析の結果であり、承認時評価資料より引用
表1の症例から採血日と重症化日(中等症Ⅱ以上の症状を示した日)が同一であった12症例を除外した66症例。
※カットオフ値は12例を除外しないで設定した95.0 pg/mL
また、表2の重症群(7症例)の採血日と酸素吸入開始日の関係は、表3に示す通りでした。
主要文献
(1)製造販売承認申請資料
(2)藤澤隆夫ほか:日本小児アレルギー学会誌,2005,19(5),744
(3)玉置邦彦ほか:日本皮膚科学会雑誌,2006,116(1),27
(4)Sugiyama M. et al.:Gene,2021,766,145145
(5)厚生労働省 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き,第9.0版
(6)HISCL TARC試薬 添付文書