遺伝子変異解析セット(がんゲノムプロファイリング検査用)OncoGuide™ NCCオンコパネル システム
臨床研究成績
臨床研究成績
TOP-GEARプロジェクト※3 第2期[2016年5月~2017年5月]6)
※3 TOP-GEARプロジェクト
個々の患者の治療方針決定に関連する遺伝子異常を調べ、その結果を診療に反映させることを目的とした網羅的な遺伝子検査プロジェクト。
目的
日本におけるゲノム医療の日常診療への導入に向けたがん関連多遺伝子パネル検査の有用性検証
(国立がん研究センター中央病院内にに設置されたSysmex Cancer Innovation Laboratory(CLIA準拠の遺伝子検査室)にて実施)
対象患者
主治医ががん関連多遺伝子パネル検査により得られた遺伝子プロファイリングが診療方針決定の補助になり得ると判断した進行・再発固形がん患者
登録患者および解析状況
248例が登録され、18例(病理診断の再検により悪性腫瘍と診断されなかった症例2例、微小であるなど解析に不適な症例16例)を除いた230例よりゲノムDNAを抽出しました。抽出後のDNAの質・量の評価において品質基準に満たなかった18例を除いた212例を対象に遺伝子パネル検査を実施し、187例の遺伝子プロファイル情報を取得しました。遺伝子プロファイル情報が得られた187例のがん種内訳は、肉腫(軟部および骨の悪性腫瘍)が43例(23%)と最も多く、次いで非小細胞肺がん26例(14%)、卵巣がん12例(6%)、膵がん 10例(5%)であり、希少がんが98例(52%)と約半数を占めました。
がん種 |
希少がん |
症例数 |
軟部悪性腫瘍 |
● |
36 |
骨悪性腫瘍 |
● |
7 |
非小細胞肺がん |
|
26 |
卵巣がん |
|
12 |
膵臓がん |
|
10 |
大腸・直腸がん |
|
9 |
胆道がん |
|
8 |
膀胱がん |
|
7 |
乳がん |
|
7 |
胃がん |
|
6 |
胸腺がん |
|
6 |
原発不明がん |
● |
5 |
唾液腺がん |
● |
5 |
小腸がん |
● |
4 |
胚芽腫 |
● |
3 |
食道がん |
|
3 |
グリオーマ |
● |
3 |
頭頚部がん |
|
3 |
腎がん |
|
3 |
虫垂がん |
● |
2 |
子宮体がん |
|
2 |
肝臓がん |
|
2 |
悪性中皮腫 |
● |
2 |
皮膚がん、非メラノーマ |
● |
2 |
ウィルムス腫瘍 |
● |
2 |
精巣がん |
● |
1 |
炎症性偽腫瘍 |
● |
1 |
腺様嚢胞がん |
● |
1 |
肛門がん |
● |
1 |
子宮頸がん |
|
1 |
胚細胞腫 |
● |
1 |
肥満細胞腫 |
● |
1 |
組織球肉腫 |
● |
1 |
悪性黒色腫 |
● |
1 |
縦隔カルチノイド |
● |
1 |
前立腺がん |
|
1 |
甲状腺がん |
|
1 |
合計 |
|
187 |
がん種ごとの遺伝子異常の検出状況
主要ながん種※4の90例において60遺伝子、希少がん※5の97例において49遺伝子の異常が検出されました。なお、主要ながん種のうち、コンパニオン診断薬の対象となる5がん種49例においては47遺伝子の異常が検出されました。
※4 主要ながん種(16がん種)
本邦におけるコンパニオン診断薬の対象となるがん種(5がん種): 非小細胞肺がん、悪性黒色腫、乳がん、胃がん、大腸がん
上記以外(11がん種):胆道がん、膀胱がん、胃がん、食道がん、頭頚部がん、腎がん、子宮体がん、肝臓がん、子宮頸がん、前立腺がん、甲状腺がん
※5 希少がん(21がん種)
軟部悪性腫瘍(36)、骨悪性腫瘍(7)、卵巣がん(12)、胸腺がん(6)、原発不明がん(5)、唾液腺がん(5)、小腸癌(4)、胚芽腫(3)、グリオーマ(3)、虫垂がん(2)、悪性中皮腫(2)、皮膚がん・非メラノーマ(2)、ウィルムス腫瘍(2)、精巣がん(1)、炎症性偽腫瘍(1)、腺様嚢胞がん(1)、肛門がん(1)、胚細胞腫(1)、肥満細胞腫(1)、組織球肉腫(1)、悪性黒色腫(1)、縦隔カルチノイド(1)
(括弧内は症例数)
悪性黒色腫は希少がんですが、コンパニオン診断薬の対象となるがん種に含めました。
結果
アクショナブル遺伝子異常※6率
遺伝子プロファイル情報が得られた187例のうち、109例(58%)にアクショナブル遺伝子異常が検出されました。さらに、高TMB(10/Mb以上)の2例を含めると、アクショナブル遺伝子異常を有する症例は111例(59%)でした。
高TMBを含むアクショナブル遺伝子異常検出
※6 アクショナブル遺伝子異常
本品によるアクショナブル遺伝子異常例は、日本臨床腫瘍学会・日本癌治療学会・日本癌学会合同次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス第1.0版(2017年10月11日)における治療効果エビデンスレベル1A-3Aの遺伝子異常、ならびに医療機関内でのエキスパートレビューに基づき診断されました7)。
遺伝子異常に合致した薬剤投与状況
遺伝子プロファイル情報が得られた187例の投薬状況を調査した結果、25例(13%)について本検査で同定されたアクショナブル遺伝子異常に合致した薬剤が投与されていました。
アクショナブル遺伝子異常に合致した治療薬選択の状況
生殖細胞系列遺伝子変異の検出
遺伝子プロファイル情報が得られた187例のうち、6例(3%)で生殖細胞系列遺伝子変異が検出されました。
引用文献
6) Sunami K, et al. Cancer Sci. 2019; 110(4):1480-1490. |
7) 日本臨床腫瘍学会・日本癌治療学会・日本癌学会合同「次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス(第1.0版)」(平成29年10月11日) |